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ラボ長発信No.9(2002.9.16)

ベンチャー企業がイノベーションを起こす8か条

 ラボ長の前田です。夏休みはいかがでしたか。起業最中の人には夏休みは無かったことでしょう。

 8月13日から15日まで、けいはんなでイノベーションの国際学会発表があり、けいはんなのインキュベーションセンターを2年ぶりに訪問しました。さすがにお盆で人影はまばらでしたが、うれしかったのは、バイオベンチャーのプロテイン・ウエーブが数人の社員を抱えて国際的に活躍していることでした。若い創業者の三城さんが、住友金属工業をスピンオフしてインキュベーションセンターに一人ぽつんと入って創業した頃にお会いして、強く感じるものがあり、かげながら応援していました。新聞等で報道されるたびに、どこまで伸びたかと、気になっていました。

 ミレニアムゲートテクノロジーの吉田技術顧問も、ご出勤でした。高知工科大学水野副学長が責任者として担当される、文部科学賞省の知的クラスター「ヒューマン・エルキュブ」Life,Living,Learningの事務局の皆さんにもお会いできました。皆、イノベーションを目指して、走りつづけています。

 さて、今日のテーマは<<<イノベーション>>>です。
私は、このようなイノベーションをしている、というのを、今回は全メンバーから返事をもらいたいです。ベンチャーに関係なくとも、この1年で実行した、又はしようと思っているイノベーションをラボ長に数行で知らせてください。私から皆さんに個別の何かヒントを出せるかもしれません。

 イノベーションは、日本では技術革新と訳されているが、技術だけではなく、販売チャネルの革新や、ビジネスも出るの革新も立派なイノベーションである。ソニーのウオークマンは、技術的には新しいものなしで、既存のものの組み合わせ(新結合)でイノベーションを起こした。ドコモのiモードの松永真理さんは、社内の私設バーであるクラブ真理で雑誌の値段と同じ手ごろ感を説得して、イノベーションを起こした。
イノベーションを起こさない限り、差別化ができず、ベンチャーの成功はありえない。

 イノベーション、起こしていますか。この1年間で、イノベーションを起こしましたか?起こすことを毎日「意識」していますか。まずそこから始めよう。何でもいいから全員簡単な数行の返事くださいね。

 返事をもらう前に私のことを述べますと、この1年のイノベーションは、日陰の存在だった「スピンオフ」を表に持ち上げ、経団連、文部科学省、経済産業省、内閣府・総合科学技術会議、スタンフォード大学等で、スピンオフを取り上げはじめ、それらの検討コミティのメンバーとなった。スピンオフが日本産業の変革を起こす!日も近い。研究ドメインを絞り込んだのが良かったと思っています。

<<<ベンチャー企業がイノベーションを起こす8か条>>>

 ベンチャー企業の成功の鍵は、ひっくり返らないでイノベーションを起こしながら規模拡大をはかることだと要約できる。ということで、どうすればひっくり返らないで済むか、すなわち倒産しないで済むか、ということを、5月のラボ長発信No.5で述べた。もう一つは、どうすればイノベーションを起こしながら規模拡大を続けられるかということである。

 高名な経済学者シュンペーターは競争にもとづく「創造的破壊」や、従来交わらなかったものの「新結合」がイノベーションを生み出すとした。ハーバード大学のクリステンセン教授は、革新的なイノベーションは、大企業ではほとんど起こらず、挑戦的なベンチャーからのみ、生まれ出ると事例を挙げて証明している。一橋大学の野中郁次郎教授は、「知識創造」こそがイノベーションの源泉であると主張している。私が勤めていたソニーは「人のやらない新しいもの」を求めることをDNAとして植え付けている。

 私は、20数社のハイテクベンチャー成功企業の創業者に会い、私の感性で得た次のイノベーションを起こす8か条を日本の新産業育成に貢献するようなベンチャー企業をめざす人に提示したい。

 ベンチャー企業の成功の鍵は、ひっくり返らないでイノベーションを起こしながら規模拡大をはかることだと要約できる。ということで、どうすればひっくり返らないで済むか、すなわち倒産しないで済むか、ということを、5月のラボ長発信No.5で述べた。もう一つは、どうすればイノベーションを起こしながら規模拡大を続けられるかということである。

 高名な経済学者シュンペーターは競争にもとづく「創造的破壊」や、従来交わらなかったものの「新結合」がイノベーションを生み出すとした。ハーバード大学のクリステンセン教授は、革新的なイノベーションは、大企業ではほとんど起こらず、挑戦的なベンチャーからのみ、生まれ出ると事例を挙げて証明している。一橋大学の野中郁次郎教授は、「知識創造」こそがイノベーションの源泉であると主張している。私が勤めていたソニーは「人のやらない新しいもの」を求めることをDNAとして植え付けている。

 イノベーションは、日本では技術革新と訳されているが、技術だけではなく、販売チャネルの革新や、ビジネスも出るの革新も立派なイノベーションである。ソニーのウオークマンは、技術的には新しいものなしで、既存のものの組み合わせ(新結合)でイノベーションを起こした。ドコモのiモードの松永真理さんは、クラブ真理で雑誌の値段と同じ手ごろ感を説得して、イノベーションを起こした。イノベーションを起こさない限り、差別化ができず、ベンチャーの成功はありえない。

 私は、20数社のハイテクベンチャー成功企業の創業者に会い、私の感性で得た次のイノベーションを起こす8か条を日本の新産業育成に貢献するようなベンチャー企業をめざす人に提示したい。

1. 出口戦略(Exit Strategy)を最初から明確にもつ。
  何年後にはIPO(株式公開)をするかを、明確な意思として持つ。IPOの前にM&Aをされてもよい状況や条件を検討しておく。
メガチップスは10年後の2001年上場をターゲットとし8年で達成した。
2. ビジネスドメインを絞り込む。
  ベンチャーとしてごくわずかなリソースをどこに集中するかを考える。まずはニッチでも将来性のある一点に人と技術と資金を集中する。
インクスは3D、ザインは液晶LSI,鷹山は次世代携帯に焦点を絞った。
3. 高い志とリーダーシップを持ちつづける。
  生きるための下請け仕事でも、夢はメンバー全員で持ちつづける。本田宗一郎がみかん箱の上でF1を語ったように、世界一をめざせ。
鷹山はSmall and Strong, ザインやインクスは日本製造業の再建、メガチップスは日本初のLSIファブレスの知識集約産業をめざした。
4. 埋もれた人材を一本釣りで集める。
  人材は、創業者がその情熱で一人ずつ引き抜いていく。夢と実現可能性が説得できれば今の時代、人は飛び出してでも来る。
インクスはマッキンゼーから、鷹山は東大大学院から博士を取り込む。
5. 大学の教授をネットワークに組みこむ。
  理系の教授は、驚くような世界的な技術や情報を持ち合わせている。大学教授のアイディアを特許に結び付けて製品に実現する。
サムコは国内外数百人の大学教授のネットワークを持つ。
6. 早い時点で国際展開を図る。
  ハイテクはグローバルベースで評価され伝わる。日本だけの技術では負ける。欧米亜の知恵を結合できる体制をとる。
サムコやメガチップスはシリコンバレー、ザイン、メガチップスは台湾に。
7. 右腕となる人物を育てて任す。
  任すことにより、育つ。育つことにより、創業者は次のテーマに視野とエネルギーを向けられる。
} インクスやザインの社長は、あちこち講演に出歩き視野を広げている。
8. 技術や製品に関連したサービスを取りこみビジネス化する。
  ハードの販売では利益が上がらないケースが多い。GEやABBのような大企業も今やサービス・ビジネスからの利益で潤っている。
インクスは3D設計ソフト教育、メガチップスはシステムビジネスへ。

 これらの「イノベーションをおこす8ヶ条」と、5月の「倒れない8ヶ条」との合計16ヶ条が、ベンチャー企業経営成功の鍵である。これらを踏まえてしっかりしたビジネスプランを何度も修正しながら練り上げていくことが重要である。

 イノベーションを起こす8ヶ条の2番目で「ビジネスドメインを絞り込む」を説明したが、起業時にどこから攻めるかを戦略マップ(X軸、Y軸)上で図解したのが図表‐1(図はメールでは見れませんが、興味のある人はウエブ上で見られます)である。縦軸が市場の大小で横軸が技術等の革新性の大小である。市場が大きく革新性も大きい分野は、大企業も狙っており、その大企業でさえもなかなか攻略しがたい分野である。

  リソースが少ないベンチャーにとっては例外もあるが一般的には左下の市場が小さく革新性も小さいいわば穴場からフェイズ1をスタートさせるべきである。次にフェイズ2として右に移り市場が小さいが革新性の高い分野に進出していく。市場が小さいとベンチャーが成功しても大企業はひとこえ何百億円というその巨大なものさしで評価しているのでなかなか入ってこない。ここはまさにベンチャーの成長をうながす最高の場である。そして特許等で鍛え上げた技術でフェイズ3として右上の市場大、革新性大の土俵で大企業と対等に競い合いまた連携するのである。

 私の教える大学の学生が戦略マップ上に書いた、ベンチャーとは何ぞや?志である!のチャート(ウエブ上の図-2)と照らして、イノベーションの鍵を探して欲しい。すべての創業者に当てはまる鉄則は無い。すべてケースバイケースで異なってくる。同じ人でも、時と周りの状況で変わってくる。

 イノベーション、起こしていますか。この1年間で、イノベーションを起こしましたか?起こすことを毎日「意識」していますか。まずそこから始めよう。



<完>


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