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1991年5月
フォーラム21 同窓会報
前田 昇(ソニー)

姫路でのカルチャーショック

 Gulf Warによる海外出張中止という事で、年末から年始にかけて国内各地をまわる事が多かった。2月に広島の営業所と顧客回りをした後、30年ぶりに姫路で堺の中学校の同窓生と会う機会があり英語の先生の話等で懐かしかった。

 話の途中で久しぶりにガーンと大きなカルチャーショックを覚えた。私の人生観やビジネス観が大きく揺さぶられた。数週間考えさせられた。…… というのは、彼女の夫は我々と同じサラリーマンをしながら、土日は家伝の神社の神主として多忙を極めている。その中で8年間かかって郷土史の研究の本を5年前に出版したそうだ。同時に月に1、2度は町内の公民館で郷土史の勉強会の講師をしているという。

 姫路から横浜への帰りの“こだま”の中でじっくりその頂いた郷土史を読んで見たが、熱い情熱がページからページに伝わってくるのを感じた。南北朝時代の古い家伝の漢文古文書を解読、翻訳しながら種々の、時には独自の解説をつけている。この作業は、オレにしかできない。オレに天から与えられた仕事だ……と言っているようであった。

 私は会社で21世紀のVisionだ、Globalizationだ……と言って毎日、毎月世界中を駆け回って人一倍仕事をやっているとうぬぼれていたが、その話を身近に聞いてガクゼンとした。こんなに地域に根をはやして、こつこつと世の中の為になる仕事をしている人と、自分とを比べて恐ろしくなった。

 それ以来、私の仕事への取り組みの発想は、なんとなく変わったようだ。今でも暇を見つけては、その郷土史「峰相記」を、ひもといている。

<完>

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